設立趣意

日本のアニメーション文化・産業は、優れた創造力と技術力で国際的に高い評価を得ています。今後もその蓄積を継承しつつ、更なる発展を遂げていくために最も重要な問題の一つは「教育」です。日本におけるアニメーション教育は、スタジオ内で行われてきた徒弟的な職業教育、専門学校や大学における専門教育、初等・中等教育における図工・美術教育等、さまざまなレベルで行われてきました。しかしそれらの教育は個々の点としての活動に留まり、相互に線として繋げられ、面として広がりを持つことがありませんでした。

こうした状況の中、私たちは文化庁のメディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業(平成24年度〜平成26年度)、メディア芸術連携促進事業・連携共同事業(平成27年度〜令和元年度)、ASEAN文化交流・協力事業(アニメーション、映画分野)(平成27年度〜令和元年度)等において、『アニメーションブートキャンプ』というアニメーション人材育成のプロジェクトを推進してきました。アニメーション産業界と教育界からの有識者が集い、ワークショップ実践を通じてアニメーション教育の問題に取り組んでおり、国内外の500人以上に対する教育を行ってきました。また講師として第一線で活躍するアニメーターやアニメーション監督が30人近く参加し、指導者育成にも貢献しています。

私たちの『アニメーションブートキャンプ』の蓄積を今後、更に発展させるとともに、上述のアニメーション教育における分断化の問題を乗り越え、点と点を繋ぎ、面として活性化していくためのネットワーク構築を目指し、このたび「一般社団法人日本アニメーション教育ネットワーク/Japan Educational Network of Animation(略称:JENA)」を設立いたしました。

本団体は、アニメーション教育のワークショップや講座の開催、シンポジウムや講演、研究会等の開催、アニメーション教育のための調査研究、ツール開発をはじめ、さまざまな取り組みを通じてアニメーション教育振興を図ります。幅広い年齢層のための豊かな人間性を育む総合芸術としてのアニメーションに関する教育の基礎的諸問題を探求し、専門教育のみならず、広く一般市民に向けたアニメーション教育の普及と振興に努め、国際的なアニメーション文化の交流ならびに日本のメディア芸術の発展に寄与することを目指します。

一般社団法人日本アニメーション教育ネットワーク

代表理事 岡本 美津子